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 生産国説明
  • フランス
  • イタリア
  • スペイン
  • ポルトガル
  • カリフォルニア
  • オーストラリア
  • チリ
  • 南アフリカ
  • ブルガリア
  • ドイツ


  • フランス
     名実ともにワイン大国として君臨しているのがフランスです。年間の生産量は6500万ヘクトリットルで、毎年、イタリアと1位、2位の座を争っています。
     フランスにブドウ栽培がもたらされたのは紀元前600年ごろで、その後、ローマ人の手によって各地に広げられました。
     ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュなどの著名な産地では、世界中のワイン新興国が手本とする偉大なワインを生み出し、今なお追随を許しません。また、ロワールやアルザスでも産地固有の特徴をもったワインが造られ、近年は、南部のローヌ渓谷やプロヴァンスのワインに注目が集まっています。つねにワインの世界をリードしているのがフランスといえるでしょう。
     フランスワインはINAO(国立原産地呼称統制機関)によってその等級が厳しく定められ、ヴァン・ド・ターブル、ヴァン・ド・ペイ、VDQS、AOCに分かれています。最も規制の緩いヴァン・ド・ターブルは、フランス人が水代わりに飲む低廉なワインで、日本にはほとんど輸入されていません。ヴァン・ド・ペイは南フランスのヴァン・ド・ペイ・ドックが最も有名で、近年、品種名表示のヴァン・ド・セパージュを中心に人気が高まっています。VDQSは年々、より上位のAOCに格上げされています。AOCは産地呼称がしっかりとしたワインで、ブドウの収穫される土地、使用可能な品種、最低アルコール度数などの厳しい規定があります。
     産地の個性ともいえるテロワールを、最も重視しているのがフランスのワイン造り です。
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    イタリア
     「エノトリア・テルス(ワインの大地)」と呼ばれるイタリアは、その通り20州の全土でブドウが栽培され、ワインが生産されています。イタリアの温暖で乾燥した気候が、ブドウ栽培にとって理想的な環境を生み出しているからです。
     イタリアにはフランスのワイン法に似たDOCとDOCGがあります。いずれも産地と生産基準を厳しく統制し、機関によって認証シールが貼られたうえで出荷されるなど、ある意味でフランス以上の厳格さがあります。ところが、ワイン法上の最高カテゴリーであるDOCやDOCGに属さない、新たな高品質ワインを造る動きが、1980年代から急速に活発となりました。こうしたワインはヴィーノ・ダ・ターヴォラとして売られてしまうのですが、時には同じ生産者が造るDOCやDOCGのワインを超える値段で取り引きされ、消費者を困惑させたものです。しかし、このようなカテゴリーのワインは、1992年にできたIGT(典型的地理表示付きワイン)によって制度化されるとともに、従来のDOCを改定するなどの法整備により、次第に制度に組み込まれる傾向にあります。
     最近は高級ヴィーノ・ダ・ターヴォラの台頭に触発され、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなどのインターナショナルな品種が多く栽培されるようになりましたが、イタリアではまだまだ数々の土着品種が栽培され、産地ごとにワインの個性を形成しています。北部のピエモンテやトスカーナなどの有名産地は言うにおよばず、南部のカンパーニャやプーリア、シチリアやサルディーニャの島々でも、素晴らしい高品質のワインが誕生しつつあります。
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    スペイン
     スペインはブドウ栽培面積のうえで世界一を誇る国ですが、非常に乾燥した気候のため収穫量は少なく、ワインの生産量は3位に後退します。
     スペインのワインで最も有名な銘柄はリオハでしょう。ピレネー山脈の南西、エブロ川沿いに広がるこの産地は、かつてサンチャゴ・デ・コンポステラへ向かう巡礼路の要所として栄えました。19世紀末にフランスをフィロキセラ(ブドウ根アブラ虫)が襲った時、ボルドーのワイン商たちはボルドー・ワインに代わる商材を求めてピレネーを越え、ここリオハに辿りついたと言います。そして、リオハのワイン造りに、ボルドーではお馴染みのオークの小樽による熟成をもたらしました。ブドウ品種は、赤ワインの場合、テンプラニーリョ、ガルナッチャ、マズエロ、グラシアーノ、白ワインではビウラ、マルヴァジーアなどが栽培されています。現在ではフランス原産のカベルネ・ソーヴィニョンの栽培も一部で試みられています。
     また、従来の古樽による長期熟成スタイルから、新樽の使用も含めて樽熟成期間を短くし、瓶熟によって飲み頃を図るというスタイルに変化しつつあります。
     リオハの次に知られているワインはシェリーです。スペイン南部のアンダルシア地方で生産される酒精強化ワインですが、シェリーは英語で、中心地のヘレスが訛ったものです。パロミノ種を主体に発酵が行われ、その時に樽を満杯にせず、樽の上部に空間を設けることでフロールと呼ばれる酸膜酵母が発生し、シェリー独特の香味が生まれるのです。
     瓶内二次発酵によって造られるスパークリングワインはカバと呼ばれ、そのほとんどがカタルーニャ地方で生産されています。パレリャーダ、マカベオ、シャレロの3品種で造られますが、最近はシャルドネに挑戦している生産者もいます。
     スペインにはその他にも、リベラ・デル・ドゥエロ、ペネデス、プリオラートなど注目の産地が続々と誕生しています。
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    ポルトガル
     おそらく日本人が初めて飲んだワインはこの国のものでしょう。イベリア半島の西に、縦に延びたポルトガルは世界でも有数のワイン産地です。
     ポルトガルというと、どうしても酒精強化ワインのポートを連想しがちですが、実際にはワインの全生産量のうち92パーセントはテーブルワインです。若々しいうちに飲み頃が来ることから緑のワインと名付けられたヴィーニョ・ヴェルデには、赤、白、ロゼがあります。赤ワインのダンやバイラーダ、アレンテージョなども、今後、ますます品質が向上し、世界的に知られていくことでしょう。
     すでにポルトガルワインの代名詞となっているポートは、ドウロ川流域のブドウで造られます。発酵途中に高いアルコールを加えて発酵を止め、熟成させます。ポートにはさまざまなタイプがあり、若いうちに楽しむルビーポート、樽熟成させたトウニー・ポート、良い年にのみ造られ、瓶内でゆっくりと熟成させるヴィンテージ・ポートなどに分かれます。
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    カリフォルニア
     アメリカ西海岸のカリフォルニアは、今や新大陸におけるワイン産地として最も知名度が高く、その評価もフランスを凌駕するほどになりました。1976年にパリで行われたフランスワインとカリフォルニアワインとのブラインドテイスティングで、見事にカリフォルニアが勝利をおさめてしまったのです。
     カリフォルニアにはAVAと呼ばれる産地区画があり、使用しているブドウの85パーセント以上が同一産地のものであれば、その産地名を表示することができます。ナパ・ヴァレイ、カーネロス、ラザフォードなどの表示がこれに当たります。フランスのAOCやイタリアのDOCのように、使用品種や収量制限などの厳しい規則はなく、したがって、ボルドー原産のカベルネ・ソーヴィニョンのすぐ隣の畑で、ブルゴーニュ原産のシャルドネが栽培されていたりするわけです。
     カリフォルニアのワイナリーはどこも開放的で、観光客を受け入れる体制が整っています。週末にはサンフランシスコからナパ・ヴァレーへの日帰りバスツアーが用意されているほどで、ワイナリー構内でピクニックに興じることも可能です。
     ブドウ栽培やワイン醸造学のシンクタンクとしてカリフォルニア大学デイヴィス校をおき、旧世界のワイン産地では追いつけないほどの高い技術力を誇っています。また、ブドウ品種名を表示したバラエタルワインを一般化させたのもカリフォルニアであり、今後ますますカリフォルニアワインは世界中に浸透していくことでしょう。
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    オーストラリア
     オーストラリアのワイン産業の始まりも、この国の建国と同じくごく最近のことです。乾燥した灌漑地域で造られるポートタイプの酒精強化ワインが全盛の時代もありましたが、今では圧倒的に食事と楽しむテーブルワインが主流となりました。
     ワイン産地は南東部に集中し、ニュー・サウス・ウエールズ州のハンター・ヴァレイ、サウス・オーストラリア州のバロッサ・ヴァレイやクナワラ、ビクトリア州のヤラ・ヴァレイなどがよく知られています。また、冷涼なタスマニア島でも酸味の引き締まったシャルドネやリースリングが造られ、西オーストラリア州のマーガレット・リヴァーにも注目が集まっています。
     オーストラリアのワインもカリフォルニア同様、品種名が表示されたヴァラエタルワインが一般的ですが、この国独自の個性を見いだしたのがシラーズでしょう。フランスのローヌ渓谷で栽培されているシラーと同一のこの品種は、オーストラリアの気候と土壌の影響からユーカリプスとチョコレートのフレーバーをもち、インクやスミレの香りがするローヌのシラーとは全くスタイルの異なるワインとなっています。
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    チリ
     数年前から日本で大ブレークしているのがチリワインです。安い、うまい、わかりやすいの3拍子がそろい、他の国のワインを一気に追い落としてしまいました。
     この国では、かつて宣教師が植えたパイスというブドウ品種を中心に、大樽で何年も寝かせた粗野なワインが造られてきましたが、80年代後半からとくに北アメリカ市場を視野に入れた、カベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネなどのヴァラエタルワインへと転換を進めています。ステンレスタンクによる温度管理の行き届いた発酵や、小樽を使った熟成など、近代的な技術の導入によってワインの品質は大きく向上し、フランスやカリフォルニアなどのワイン先進国から、ジョイントベンチャーに乗り出すワイナリーも後を絶ちません。
     チリはフィロキセラ(ブドウ根アブラ虫)の被害にあっていないワイン生産国であり、今なおブドウ畑には接ぎ木をしていない自根のブドウが植えられています。また、非常に乾燥した気候のため、病虫害が少なく、環境に留意した自然のブドウ栽培が可能です。
     数年前からはお買い得なワインに飽き足らず、各ワイナリーが総力を結集したプレミアムワインをリリースするようになり、今後一層の発展が期待されています。
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    南アフリカ
     南アフリカのワイン産業はアパルトヘイトの撤廃によって大きく発展しました。アメリカをはじめとする国々の経済封鎖が解かれ、巨大な輸出市場を前にしたブドウ栽培家たちが、それまでの協同組合システムを打ち壊したのです。今では毎年のように新しいワイナリーが誕生し、国際的なワインコンクールで賞を獲得するまでになっています。
     南アフリカのワイン産地はケープ・タウンを中心とした南西部の一帯に集中しています。とくにステレンボッシュにはSFW(エス・エフ・ダブル)など大手生産者が集まっています。またより内陸のパールにも生産者が多くひしめいています。ステレンボッシュの南東にあるエルギンやウォーカー・ベイは冷涼な気候の新興ワイン産地で、シャルドネやピノ・ノワールの栽培地として注目されています。
     カリフォルニアのジンファンデル、オーストラリアのシラーズのような、南アフリカ固有のブドウ品種がピノタージュです。ピノ・ノワールとサンソーを交配した品種で、これまでは軽めの若飲みタイプが中心に生産されてきました。しかし長年にわたる研究の結果、比較的高い温度で発酵させ、新樽で熟成させると、力強い長熟タイプのワインになることがわかり、国際的品質のピノタージュが少しづつ生まれています。
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    ブルガリア
     ソ連と社会主義体制の崩壊にともない、21世紀期待のワイン産地として注目を浴びているのが、ハンガリー、旧ユーゴスラビア、マケドニア、モルドヴァ、ブルガリアなどの東欧諸国です。その多くは旧ソ連向けの安価なワインを造っていましたが、社会主義の壁が取り払われた今日、西側諸国への輸出も視野にいれた高品質なワインの生産に目覚めました。西側の投資も始まり、設備の刷新や近代技術が導入され、ワインの品質は大きく向上しつつあります。
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    ドイツ
     東西ドイツが統合して以来、ドイツには13の産地に約10万ヘクタールのブドウ畑が広がっています。そのうち80パーセントが白ブドウ品種であり、世界にも類例のない白ワイン大国といえるでしょう。
     ドイツで有名なワイン産地は、モーゼル河流域とライン河流域です。もともと北緯50度という世界で最北に位置するワイン産地のため、その冷涼な気候から、フレッシュで繊細な酸味と、さわやかで豊かな香りのワインが生まれます。これに、各産地の土壌構成や微少気候の差が関係し、微妙な味わいの差となって現れるのです。
     ドイツのワイン法では、収穫されたブドウの熟度によってターフェルヴァインとクアリテーツヴァインの2つに大別され、さらにクアリテーツヴァインは、発酵前の果汁糖度によってQbAとQmPに分類されます。QbAは補糖が認められていますが、QmPでは禁止されています。QmPはさらにカビネット、シュペートレーゼ、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼ、トロッケンベーレンアウスレーゼの5段階に分類されます。トロッケンベーレンアウスレーゼは恵まれた年にしかできない、極甘口の貴腐ワインです。また、自然に氷結させたブドウを搾って造るアイスヴァインがあります。
     ドイツワインの多くは長いワイン名をもっていますが、それは村名と畑名を組みあわせているためです。ホッホハイマー・ドムデヒャナイといえば、ホッホハイム村のドムデヒャナイ畑を意味します。これにブドウ品種名、等級名が組みあわせられるのです。
     ドイツで最も高貴なブドウ品種はリースリングですが、冷涼な気候を克服するため、ミュラー・トゥルガウをはじめとし、さまざまな交配品種も存在します。また、ボックスボイテルが特徴のフランケン・ワインの場合、主要な品種はシルヴァーナーです。
     最近では、モーゼルやラインガウなどの著名産地ではなく、ファルツやバーデン、ヴュルテンベルクなどで、ブルグンダー系の品種を中心に新たな試みがなされており、シュペートブルグンダーから造られた赤ワインの中には、ブルゴーニュのワインを凌駕するものも現れています。
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